便秘 病気

便秘には病気が隠れていることもある!便秘を招く危険な病気とは

多くの人が便秘の悩みを抱えており、慢性的な便秘になると自分の体質だとあきらめている人もいるのではないでしょうか。しかし、その便秘の症状がこれまでと違っていたら要注意です。便秘を招く原因には、食生活や筋力の低下だけでなく、恐ろしい病気が関係していることもあります。ここでは、便秘を引き起こす病気の種類と、病気が疑われたときに受診する病院について解説します。

便秘は大きく分けると2つのタイプになる

便秘には、筋力の低下や生活習慣などから生じる「機能性便秘」と、何らかの病気が原因で便秘になる「器質性便秘」の2種類に大きく分類されます。どちらも腸の働きがスムーズに行えず、排便が困難になっている状態ですが、原因が病気にある場合は、時には命の危険につながることもありますので、注意が必要です。

便秘を引き起こす病気(1)大腸がん

大腸がんは、日本人の死亡原因のトップであるがんの中でも、女性1位、男性3位の高い死亡率の病気です。(2014年度・国立がん研究センター調べ)

 

口から食べた食事は、大腸の中で、上行(じょうこう)結腸、横行(おうこう)結腸、下行(かこう)結腸、S状結腸、直腸の順に便を形成しながら移動して肛門から排泄します。大腸がんの約7割は、肛門に近い直腸とS状結腸にできます。

大腸がんが便秘を起こすメカニズム

大腸がんと便秘の関係は、がんの腫瘍(こぶ)に便が詰まることで便秘になると考えられています。以前から、便秘が大腸がんを誘発するという説もありますが、厚生労働省の研究班が調査した結果でも、因果関係は明確になっていません。

体に現れる大腸がんの特徴

  • 下痢や便秘
  • 便に血が混ざる
  • 激しい腹痛
  • 腹部のしこり
  • 嘔吐

大腸がんは早期発見が難しい病気

大腸がんは今後ますます増えることが予想されていますが、初期症状がなく早期発見が難しい病気です。たとえ血便があっても痔と勘違いされて十分な検査が行われないこともあります。

 

大腸がんの血便は、どす黒い色の血が便に絡みついたように排泄されます。それに対して、痔は水のようにサラサラした状態の鮮血(真っ赤な血)が出ますので、これらの特徴に注意して、便に異常がないかチェックしてください。

便秘を引き起こす病気(2)腸閉塞

腸閉塞とは、何らかの原因で腸が詰まっている状態です。腸が詰まることで、便が肛門まで移動することができず、便秘になってしまいます。

 

便秘が進行すると、大腸の働きは低下して便意を感じなくなり、腸に溜まり続ける便は、水分が吸収されて石のように硬くなることで、便秘の症状を悪化させます。さらに硬くなった便で腸の壁を傷つけることや、便により腸が壊死(えし)することもあり重症化すると命の危険につながる病気です。

体に現れる腸閉塞の特徴

  • 激しい腹痛
  • お腹が張る
  • 吐き気と嘔吐

腸閉塞は、便だけでなく腸の中に存在する消化液の腸液や、ガスも排泄することができず、お腹の張りと激しい腹痛をともないます。

腸閉塞が起こる原因

  • 開腹手術(腹部を切る手術)をしたことによる腸と腹壁の癒着
  • 脱腸の一つである大腿ヘルニア
  • 腸が何らかの原因で自然にねじれる腸捻転(ちょうねんてん)
  • 腸の血流障害による絞扼性(こうやくせい)腸閉塞

腸閉塞の発生は腸の内側と外側に原因があります。便秘気味の高齢者では硬くなった便が腸閉塞の原因にもなりますので注意が必要です。

便秘を引き起こす病気(3)胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍・十二指腸潰瘍とは、食べた物や体に侵入してきた病原体を胃で溶かすために分泌されている胃酸やペプシンの作用で、胃と十二指腸の粘膜が溶かされる病気です。

 

口から入った食べ物は、食道を通って胃に運ばれ、胃で消化されたのち十二指腸から小腸へと運ばれます。通常は、胃液に対して粘膜がバランスを保つことで胃壁は守られていますが、胃酸が増え過ぎる過酸症や、胃酸が少ない低酸症になると粘膜のバランスが乱れダメージを受けます。

胃潰瘍・十二指腸潰瘍が便秘を起こすメカニズム

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、主に胃酸の分泌が低下する低酸症が多く、消化不良になりやすいことから、大腸の働きも悪くなり便秘を引き起こします。また、十二指腸潰瘍の症状である、食欲不振からくる食べる量の減少や、胃潰瘍の影響で食べたものが胃の中に残り腸まで届きにくいことも、排便に必要な便の量が足らなくなり便秘を起こします。

体に現れる胃潰瘍・十二指腸潰瘍の特徴

  • 腹痛(胃潰瘍はみぞおち、十二指腸潰瘍は右上腹部や背中)
  • 胃液が逆流することによる胸やけ
  • 褐色の血を吐く(吐血)
  • タール状の黒い便が出る(下血)
  • 吐き気、嘔吐

胃潰瘍・十二指腸潰瘍が起こる原因

  • ストレス
  • ピロリ菌、
  • お酒、喫煙
  • ステロイド性抗炎症薬(NSAID)による副作用

胃潰瘍と十二指腸潰瘍は、ストレスなどが原因で急激に症状が出る(急性)と、ピロリ菌などが原因で持続的に症状が出る(慢性)があります。

便秘で病気が疑われるときに受診する病院

これまでと違う便秘の症状が出たら、早急に専門機関の受診をお勧めします。便秘の診察には主に3つ科が挙げられます。

消化器内科

消化器内科は、口から肛門までの消化器(食道、胃、腸、肝臓、膵臓、胆のう)の病気を診察して治療を行います。

胃腸科

胃と腸の病気を専門的に診断し治療を行います。施設によっては、腹部CT検査や胃カメラ、エコーなどで、消化器内科と同じ診断ができる病院もあります。

便秘外来

便秘外来は専門家による便秘に特化した外来です。便秘の診断だけでなく、症状に合わせて大腸内視鏡検査を受けることもできます。

 

多くの病気が早期発見で重症化を防ぐことができます。気になる便秘は早めに専門機関で診てもらいましょう。